先物相場 2009 8 8

 これは、よく聞かれることですが、
「本屋には、大恐慌などの本がたくさん並んでいるのに、
なぜか、株価は、3月中旬から右肩上がりに上昇している。
これは、なぜか」ということです。
 確かに、本屋で、そういう本が、たくさん並んでいるのを見れば、
株式投資は、当面、見送った方がよいと考えるのは、自然でしょう。
 しかし、株価は、するすると上昇を続け、
銘柄によっては、3月中旬の株価と比較すると、3倍以上になった銘柄もあります。
 一般の人には、こうした現象は、不可解にも見えるでしょう。
このような「不景気下の株高」を演出している原因のひとつが、
先物相場にあると思います。
 ニュースでよく聞く、日経平均株価という指標ですが、
これは、単純に言えば、主な銘柄の株価の平均点です。
 しかし、この平均点を先物で売買できるのです。
平均点を買うという表現は、一般的には奇妙に聞こえますが、
株式市場(先物市場)では、
たとえば日経平均先物9月物を買うことができます。
 本当は、「将来、景気がよくなる」と予想して、
先物を買うのが基本でしょうが、
現実は、マネーゲームに近いと思います。
 下がると予想して先物を売り込んだが、意外に底値が固かったので、
今度は、先物を買い進む。
 さらに、このようなマネーゲームでは、
巨額の資金があれば、日経平均先物を上げるのも下げるのも自由自在です。
「不景気下の株高」を演出するのも可能です。
 このような調子なので、
特にファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は関係ありません。
 詳しい説明は省きますが、
先物市場(日経平均先物)が動けば、連動して現物市場(日経平均株価)は動きます。
日経平均株価が動けば、当然、それを構成している個別銘柄も動きます。
 そういうわけで、世論と株価には、ずれが発生して、
一般の人は、「本屋には、大恐慌などの本がたくさん並んでいるのに、
なぜか、株価は、3月中旬から右肩上がりに上昇している。
これは、なぜか」と思うわけです。
 一般的には、「景気回復を見込んで株価は上昇した」と解説されますが、
銘柄によっては、この株価水準では、来年どころか、
再来年の業績まで見込んだ株価水準と言えるかもしれません。
 株高を演出している間に、実体経済の回復を待つ。
そんな感じでしょうか。


















































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